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私ときよら、鴉川の3人はきよらの体調が回復するまで
あの家でまた暮らすことになった。
自宅待機、ときさらは言ったが私にとっては少し違う気もする。

きさらが戦闘で戦って以来、鴉川の笑顔はぎこちなかった。
初めて鴉川と会った時の笑顔はそこにはなくて、
それでもきさらの為に必死に笑顔を作っていた。

きさらも何となく察しているのだろうか。
前にも同じようなことがあったからいいの、と彼女は話していた。
鴉川は、きさらが戦闘に立ち、きよらの命を削る度に
相当精神的に追い込まれてしまうのだろう。
それが、人間らしくて……居心地が悪い。
そんな感情、とっくに捨てたはずなのに、私まで辛くなる。

蒼井さんが言っていた通り、鴉川は戦闘で汚れたきさらの服を洗ったようだった。
干してあるそのボロボロの服は、もう二度と着ることがないだろうに。
蒼井さんの言葉が頭をよぎる。
――『全部捨てちゃえば、楽になるのに』

鴉川は時折、職場に赴いたが帰宅後は
部屋にこもることもしばしばあった。
きよらの様態が気になるが、聞ける雰囲気ではなかった。
もし、きよらが回復しなかったら、きさらは一体どうなるのだろう?
妙な不安がよぎるが、疲労しきった鴉川に何も言えなかった。

「なぁ、瑠宇」
それはある日突然だった。
鴉川はずっと言い出しずらかった言葉を口にするように言った。
「今度、会議がある。お前も来るか」
酒臭い鴉川の言葉を私はのんだ。
「行く」

鴉川が泥酔しないと、私に声を掛けられなかった理由を知ったのは
それからしばらくたった日のことだった。
――あぁ、まただ。
私はゆっくりと木の音が軋むベッドから起き上がった。
私が孤児になったあの日、父は殺された。
許せなかったんだろう。父を許せない人が、この世には沢山いたんだろう。
私は曇天の心を引きずったまま成長してしまった。
だから過去の夢を見てしまうのだろう。
父を今更信じることも、許すことも、怒ることもできない。
真実を知らない私には、何の権利もないと思うから……。

「椿さん、こっちお願いします」
そう私を呼んだのは、ヘレンローゼカッツェの仲間ではない。
私が皆に話した旧友のタイガでもない。
私とタイガが知り合いで、救護を頼まれたのは嘘ではなかったが、
私が彼の班の救護に行った時には手遅れだった。
正確に言えば、ほぼ全滅の班に私が加わり、私の分の2時間も戦闘に立った
タイガが死んだのだ。
彼の悲報を聞いた時、私がタイガを殺した、そう思った。
同時にそれは起こり得ると分かっていたことだった。
腐った荒廃の地に立ち尽くしていた時、
私はある男と再会した。

鷹尾颯馬――。
「どうして」そう聞こうとした私の口を挟むように、彼は言った。
「またそんな顔して」
彼はフードを深く被ったままだったが、口元が優しく笑っていた。
久しぶりに会ったとは思えないほど自然を装って。
「椿が殺したんじゃないよ、彼が死んだんだ。どうせ死ぬんだ、って思った時、人は綺麗に死にたいって思うんだよ。彼みたいに誰かを傷付けてしまうことも考えられなくなって、自分が守ったって錯覚させて」
「椿は彼のために仕事を引き受けた。椿が彼の正義を守ったんだよ、彼の最期を守ったんだよ」

あんたに何が分かるんだよ。
ずっと居なくなってた癖に。野良猫みたいに急に現れて。
なんでこっちの事情知ってんだよ。
どうしてここに居るんだよ……。

「椿、俺と手を組まないか」
私は生き延びるためなら、きっとそっちに逃げてしまう臆病者なのだろう。
自分に戦闘の能力が皆無で、皆に迷惑をかけてしまうことを言い訳にして。
鷹尾ならきっとみんなを助けてくれるって甘えがあって。
情けない。でも、私は彼と手を組んだ。
誰にも相談せずに、ヘレンローゼカッツェを去った。
こうやって、誰かにすがらないとすぐに私は消えてしまうから。
綺麗に最期を仲間と過ごす自信も、私には無いから。
鷹尾の言うことがタイガの中で真実なら、私は尊敬するよ、タイガ。

こうして私は鷹尾に連れられて向こう側の人間になった。
AI-Xを創りだす、政府の極秘機関。
鷹尾はどうやらここの幹部にいるらしい。何故かはまだ知らない。
鷹尾が消息を断ったあの日から、彼がどのように生きてきたのかも私は知らない。
彼が言い出すまでは、聞かない。
きっと、その方が鷹尾は安心するだろうから。
聞きたかったのに聞けなくて後悔したことは沢山あるけど、
それでも聞けないのは、多分自信がないから。
何も壊したくないから。

私は医事課に配属させられ、AI-Xの研究とAI-X研究機関の従業員の治療にあたった。
私はAI-Xについて色々知ることとなった。
こんな生物に、人間が勝てるわけなくて。今も戦っている仲間は練習用のおもちゃ程度なのだと。
そして、研究観察課の人間はAI-X側としてあの戦場に敵として戦っていたのだと知った。

馬鹿馬鹿しい。
命の無駄使い。

それでも、私はそこで働いた。
薬師として薬を調合し続けた。
「椿さん、次こっちお願いします」
私を呼ぶ同業者。

周りが何を思ってここで働いているのか知らないけど、
私はただの臆病な裏切者だ。

落書きしてみたーー!!
最近忙しかったので、気晴らしに笑

100金でsketchbookを買って
仕事終わりにカフェに行って、
シャープペン1本で描いてみた!!

東京喰種のカネキ君



久しぶりのお絵描きめっちゃ楽しかった〜〜
もっと上手くなりたいな(^ω^)

次は何描こうかなーー
って
小説書けや‼︎( ̄^ ̄)

さて、仕事するか笑
私は何故、椿という名を与えられたのだろう……。
ふと、そんな事をたまに思う。
椿の花言葉は、一般的には『誇り』や『謙虚な美徳、美しさ』なんて意味があるらしいが、裏の意味で『罪を犯す女』という意味があると、名付け親である父は言っていた。

母は、私を産んですぐに亡くなったので記憶にない。
でも、父がいたから全く寂しくは無かった。
私の父は孤児院で医者をしており、私を育てながら働く父を私は尊敬していた。
父はまだ幼い私を、仕事場である孤児院に度々連れて行ってくれた。
私は、父の仕事を見るのが好きだった。
孤児院の子供のためなら、昼夜を問わず駆けつける、そんな父を私は尊敬していた。
私は沢山の薬品に囲まれた環境で一日中遊んでいた。
たまに、父に手伝いはないかと駄々を捏ねると父は嫌な顔をせず、私に簡単な作業を与えてくれた。
父に褒めてもらえると、役に立てた気がして嬉しかった。

小学校に上がると、いつでも父の仕事が見れるように
私を孤児院の敷地内にある小学校へ入学出来るよう手配してくれていた。
その時は、父の手伝いができると思い、単純に嬉しかった。
今考えると、寡黙で必要以上の付き合いを好まない父が
何故そこまで手配したのか不思議だが、
きっと父はそれだけ権威もある方なのだろう、と当時は思っていた。

孤児院にはいろんな境遇の人が集まる、というのは知っていた。
アメリアの森という名のその孤児院は有名で、
一般的には偏見を持たれているのにも子供ながら気づいていた。
孤児院の人間もまた世間に冷たい目を向けていた。
別に親がいない訳ではないのにアメリアの森へ通う私を、
孤児達は部族の違う人間かのように私を見ていた。
「何しに来たんだ」と言わんばかりのその態度を
馬鹿らしく思って見下していた。
打ち解けられない世界だと知らずに踏み込んで、
一匹狼は哀しかったのかもしれない。

ある時、父は孤児院の医務室で誰かに追い詰められていた。
私は医務室で父の医学書を読むのが好きだったので、
その日も医務室で昼休みを過ごそうと思っていたが、
父を罵る低い声に萎縮して、ドア越しにこっそり聞いてしまった。

「なぜ、あの時助けなかったんです?」
「君も医者なら分かるだろう、助けるのも優先度を決めなければ、誰も助からなくなる」
「あの人は助かるはずだった。あんたが見捨てたせいであの人は死んだんだ」
「私には、彼を助ける理由が思い当たらない」
「あなたはいつもそうだ。自分の利益しか考えない、最低な人間だ」
私は、父を最低呼ばわりされたことに少し腹が立ったが、
その考えはすぐに裏切られた。
「あぁ。だからこうして山奥に隔離されたような孤児院で働いているんだ。別に好き好んでやる仕事なんて無い」
「考え直すなら今の内だと思ってここまで来ましたが、あなたはやはり狂ったままだ」
「金目当てのどこが狂っているのか、全く理解出来ない。結局人間は信用出来ない動物だし、死んだ彼のように、死にもの狂いで働いていた人間でも、金を払える保証ない者の身体を診てやる気なんぞ更々無い。それよりも、これから利用価値のある人間を診て、世間体が上がる方が、何とも賢い生き方ではないか」
「彼らがどのように利用されるのか、私達の業界ではもう有名な話ではないですか」
「利用されるかどうかは根拠のない未来の話だ。真相を分からないでここにいる私は、知らなかった、と後世に伝わり、ただ孤児のために働いた医者、ということになるだろう」
「もう、あなたは救いようがない。でも、あなたの娘はどうするつもりです?こんなところに居たらいずれ……」
「彼女の選択次第だ。私は彼女の人生を背負う気は無い」

この日を境に、私は父を見る目が少し変わった。
父の仕事に対する誠意は偽りで、平気で人を見捨てたのかと思うと、父の笑顔ですら信用できなくなった。
私の人生を背負う気は無い、と言ったその言葉も何だか辛かった。
私の人生は私が選択するものだ、というのは分かる。
でも、私の人生の中に父は居てくれないような気がして孤独に埋もれた。

私は、父みたいになりたく無い。
初めてそう思った。
私はその日、孤児になった。


まず、私は名簿リストを見ながら、
その一人一人を想像した。
確認していた、と言うほうが正しいのかもしれない。
だが、私は会う術のない彼等を想像することしか
その時の私には出来なかったのだ。

すでに、こんなにも沢山の人間が
彼の陰謀に巻き込まれているのか、と思うと
首筋に冷たい汗が流れた。

中でも、私が目についたのは
ベレック地区で日本軍人に捕虜として捕らえられた
リシャールという名の人物であった。
私は彼のことを知らない。
だが、当時私は日本軍人としてベレックにいたのだった。
私は日本軍人が捕虜を捕らえていることを
風の噂程度にしか知らなかった。
それが真実かどうかさえ、分からないほど
皆が疲弊していたのだ。
そして、実験対象とされているなんて
誰が想像出来ただろうか……。

リシャールは、家族ごと日本に連行されたと記されていた。
その後の実験内容は、素人の私には全てを理解することは
出来なかった。
しかし、この実験によりリシャールは多くの薬を投与され
彼の身体能力のほとんどは人間としての閾値を超えた。
結果、それはAI-Xを生み出す新薬の原点となった。
そして、リシャールの妻もまた被験者とされた。
彼女もまた、モルモット同様に沢山の薬を試された。
その結果はどれも失敗に終わったようだ。
薬の影響だろうか。
リシャール夫妻は肝臓を患い、すでに亡くなっていた。

酷い話だ。
だが、亡くなったのはこの夫妻だけでない。
戦後も、そして今も、実験は続いているのだ。
犠牲者はリスト内でも相当数。
もちろん被害者は、それを超える。

リストをめくりながら、
ある団体名が気になった。
子供の被験者はほとんどがそこの出身だった。
『アメリアの森』
孤児院であるこの団体から、
桜条要はカラスの人材になり得る子供や
被験者として対象に出来そうな人間を
常に嗅ぎまわっていたのだろう。
そう勘ぐった私はまだまだ温かった。

それは、この団体を調べてすぐに分かった。

この『アメリアの森』自体、
桜条要が日本政府と共に発足した団体だったのだ。

表向きは、戦後孤児を見捨てない、
そんな善良溢れるフレーズを付けて。

私の次にとる行動が決まった。
桜条要、とことんお前に付き合ってやろう。
そして私が全てを壊し、地獄へと突き落としてやる。

たとえ、私自身が道連れになったとしても。



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