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私は会議室の重い扉を開け、席に着いた。
相変わらず、瑠宇は一点を見つめるように冷静で
どんな状況下にも順応するから助かる。
それが、彼女の人生だったのかもしれないと思うほど。
だが、彼女は何を思っただろう。

――議長席に、鷹尾颯馬が座った。

鷹尾も瑠宇も互いに気づいている。
だが、気にもとめないふりを瑠宇はし続けた。
鷹尾は「始めよう」と言い会議を進めた。
その言葉は瑠宇に言うかのように、彼女を見ながら言った。

鷹尾がヘレンローゼカッツェに行った時から、
私はヘレンローゼカッツェという組織を調べ尽くした。
鷹尾が実の兄弟のように瑠宇に接していたことも、
鷹尾が去ったあと、瑠宇が鷹尾の分の仕事を背負ったことも。

淡々とAI-Xの研究結果が各班から報告されていく。

いつもながら、あまり頭には入らない。
AI-Xに銃を何発撃ちこんで何発目で再生されなくなったか……
AI-Xの目をサーモグラフィーと連動させ敵認識に使う技術開発……
正直、どうでもいい。
隣で一緒に出席していた蒼井がメモを取るのを、気持ち悪いとすら思う。

「じゃあ、研究観察課1班から」と、順番が回ってきて
いつも通り蒼井がレポートを発表する。

あぁ、腐ってる。
こんなことをし続けているなんて腐ってる。
きよらの様態は徐々に回復傾向にあるが、次の戦闘でどれだけ
持つかは分からない。対してきさらのダメージはほぼない状態だ。
どうして、助けてあげられないのか……。
自分に力がないことなんて分かりきっているのだけれど。

「よって、AI-Xのエネルギーの供給源に若干の不調があっても
 AI-Xはいつも通りに戦闘が可能。供給源とAI-Xの間で感情が
 影響することは無く、あくまでエネルギーとして血液や
 特殊培養液を介した増殖細胞のみであり、
 身体と心は別物と証明されました。」
蒼井が発表を終え席に着くと同時に鷹尾が口を開いた。

「じゃあ、供給源が何日持つか試してみてください」

……何言ってるんだよ。そんなことしたら、きよらもきさらも、
この世から消えてしまう。

鷹尾は続けた。
「今のAI-X産生の培養で、どの位AI-Xとして利用価値があるかの検討です」
「あと、AI-Xの感情にも観察、報告を」
……どうして平然とそんなこと言ってるんだ。
「なるべく、休養は与えずに戦闘に参加、何時間持ったか報告後、AI-Xが
動けなくなった時間と供給源が息絶えた時間の誤差を記録してください」
……力をもったお前しか、この世を終わらせられないのに、
どうしてAI-Xの研究に加担し続けるんだよ。

僕はまだ知らない。
彼を知ろうとする度、彼は僕に違う顔を向ける。
裏を読もうとすればするほど、
渦に巻き込まれていった。

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