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まず、私は名簿リストを見ながら、
その一人一人を想像した。
確認していた、と言うほうが正しいのかもしれない。
だが、私は会う術のない彼等を想像することしか
その時の私には出来なかったのだ。

すでに、こんなにも沢山の人間が
彼の陰謀に巻き込まれているのか、と思うと
首筋に冷たい汗が流れた。

中でも、私が目についたのは
ベレック地区で日本軍人に捕虜として捕らえられた
リシャールという名の人物であった。
私は彼のことを知らない。
だが、当時私は日本軍人としてベレックにいたのだった。
私は日本軍人が捕虜を捕らえていることを
風の噂程度にしか知らなかった。
それが真実かどうかさえ、分からないほど
皆が疲弊していたのだ。
そして、実験対象とされているなんて
誰が想像出来ただろうか……。

リシャールは、家族ごと日本に連行されたと記されていた。
その後の実験内容は、素人の私には全てを理解することは
出来なかった。
しかし、この実験によりリシャールは多くの薬を投与され
彼の身体能力のほとんどは人間としての閾値を超えた。
結果、それはAI-Xを生み出す新薬の原点となった。
そして、リシャールの妻もまた被験者とされた。
彼女もまた、モルモット同様に沢山の薬を試された。
その結果はどれも失敗に終わったようだ。
薬の影響だろうか。
リシャール夫妻は肝臓を患い、すでに亡くなっていた。

酷い話だ。
だが、亡くなったのはこの夫妻だけでない。
戦後も、そして今も、実験は続いているのだ。
犠牲者はリスト内でも相当数。
もちろん被害者は、それを超える。

リストをめくりながら、
ある団体名が気になった。
子供の被験者はほとんどがそこの出身だった。
『アメリアの森』
孤児院であるこの団体から、
桜条要はカラスの人材になり得る子供や
被験者として対象に出来そうな人間を
常に嗅ぎまわっていたのだろう。
そう勘ぐった私はまだまだ温かった。

それは、この団体を調べてすぐに分かった。

この『アメリアの森』自体、
桜条要が日本政府と共に発足した団体だったのだ。

表向きは、戦後孤児を見捨てない、
そんな善良溢れるフレーズを付けて。

私の次にとる行動が決まった。
桜条要、とことんお前に付き合ってやろう。
そして私が全てを壊し、地獄へと突き落としてやる。

たとえ、私自身が道連れになったとしても。



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