上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
鴉川は笑顔できさらに声をかける。
「きさらちゃん、お疲れ様。先に戻ってていいよ」
きさらも笑顔で頷く。

戦闘後はまたあの桜条家に帰っているらしい。
「きさらの血まみれの服を洗うのも、僕の役目なんだよ」
鴉川は苦笑しながらつぶやいた。

私は、弱いんだろうか……。
ここにいると自分の感覚が分からなくなる。
私はヘレンローゼカッツェで悪と戦ってきた。
裁かれるべき悪で、悪と戦ってきた。
でも、罪のない人は傷つけなかった。
裏路地で育てられた私の唯一のポリシー。
決して正義ではないし、世間的には私も極悪人だ。
でも、ここの人達は一体何と戦っている??
戦争のための戦争をしてる。
人工的につくられたAI-Xという人種と、
戦争で傷つき、孤独に悪事を働いてきた人間どもが。
戦わされてるんだ。互いに。
桜条という掌のうえで。
もしかすると、マスターの血のなかで……。

鴉川は今日の結果を蒼井さんと話していた。
「きさらの動きは鈍ってないし、久しぶりの戦闘に血が騒いでいたように思う」
「そうですね。銃弾をはじくあの正確さはAI-Xならではです」
「となると、問題は突っ走って無茶をするところくらいか」
「いえ、実はもう一つ問題があります」
「……??」
「きよらの体調が思わしくありません」
鴉川は低い声でやや怒りながら言った。
「なぜ、気づいたときに報告しなかった」
「何をむきになってるんです??これは実験ですよ。
AI-Xのエネルギーの供給源に若干の不調があっても
AI-Xはいつも通りに戦闘が可能。
そして、きよらが戦闘の光景をみて泣いていても、
きさらの感情に影響することは無かったんです。
AI-Xへの供給はあくまでエネルギーとして血液や
特殊培養液を介した増殖細胞のみであり、
身体と心は別物なんです。
AI-Xと双子の片割れが需要と供給を繰り返しても
互いに影響しあうことはない事がこれで証明されました」

蒼井さんは真っ直ぐな視線を鴉川に向けていた。

「きよらは……」
「集中治療室です」
「戦闘中の報告ぐらいしっかりしろ」
「報告したら、きっと中止させたでしょう。
だから私は異常なしとしか伝えなかったんですよ」
「蒼井、」
「私は、鴉川先輩のエゴに従うつもりはありません」
「……」
「それが、私達の仕事じゃないですか」

時を感じさせないほどの静かな空気が
私達を悲しく包み込んでいた。


スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://natuneco2244.blog.fc2.com/tb.php/39-2a4441cb
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。