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あぁ、誰かが私の名前を呼んでる……。

「野乃花、野乃花!」
薄っすら目を開けると椿お姉ちゃんがいた。
涙が出てきた。
「私達、捕まっちゃったの?」
椿お姉ちゃんはぎゅっと私を抱きしめてくれた。

私達はマスターに逃がされた。
もうじき、ここの喫茶店に君たちを捕まえに奴らが来るから、と。
それは、警察よりカラスより恐ろしいものだから、と言っていた。
それぞれ、分かれて身を隠した。
椿お姉ちゃんは私を守るために大学の倉庫の一室で一緒にいてくれた。
でも、奴らはそこにも来た。
食料を調達しに行った椿お姉ちゃん。
帰って来た時には、知らない大柄の男の脇に抱えられていた。
そこから、私の意識もなくなって、ここに居る。

牢屋に5人。
私と椿お姉ちゃんと空と光に愁君。
そこにもう1人運ばれてきた。かろうじて意識があるようだ。
手錠をかけられ、何人かの男に囲まれながら歩いてきた。
その人は傷だらけだった。藤堂さんだった。
少し悔しそうに笑ってた。
「俺も、捕まっちまった。」

これで6人。瑠宇さんはいないけど、
ヘレンローゼカッツェが集められた。

藤堂さんを連れてきた男が言った。
「お前らも移動だ。」
私達は手錠をかけられ、別室に連れて行かれた。
歩きながら思った。
よく見たことのある光景。
ここは、私達がマスターに拾われる前に過ごしていた場所。
孤児院の子供が通う学校だ。
図書室の隠し扉を開けた男が私達をその部屋に放り込む。
部屋の鍵が閉まると、手錠のロックが解除された。

埃臭い部屋にテーブルとイス。
冷たくて暗かった。
突然機械音が鳴る。

「はじめまして、ヘレンローゼカッツェの皆様。私は桜条要です」
3D化した映像が喋り出した。
突っかかっていきそうになる藤堂さんを空が袖を引っ張てとめた。

「皆様には今からゲームに参加していただきます。これは宿命なのです。
孤児院で育てられた人間が18歳以上になったらこのゲームに参加する、
皆様が脱走した野良猫だからではなく、もともとこの孤児院のルールだったのです」
桜条要は笑いながら言う。
「政府は親のいない子供を育てた。財政破綻のこの時代に。何故だと思います?
あなたたちに利用価値を見出したからですよ。」
私達は桜条要を睨みつけた。みんな、それぞれに思うところがある……。

「このゲームは国のために行われているサバイバルゲームです。
君たちは、ヘレンローゼカッツェとして鍛えられてきた、とても貴重な人材です。
ものすごく興味深いです。これから楽しいゲームが見られるなんて光栄です。」
「……ふざけんな。」
藤堂さんがつぶやいた。気にせず、桜条要は話を続ける。

「君たちには今からAI-Xと呼ばれる特殊な人種と戦ってもらいます。
彼らは私が開発した人種です。戦っているうちに彼らの驚異的な能力を知ることでしょう。
ただ、訓練を積まないと彼らの能力は無駄です。
能力の使い方を教え込むためには実践練習が必要です。
そこで、君たちのような身寄りのない人間で練習するのです。
彼らは、君たちが出会ったどんな人物よりも強いです。
だからハンデもちゃんと与えましょう。」
機械的に桜条要は続ける。

「ルールはこうです。
戦闘に行き、2時間生き残ればその日のゲームはクリアにします。
その日の命は保証しましょう。食事もきちんとつきます。
武器は好きなものを指定して下さい。ゲーム開始前にこちらで用意します。
仲間と協力しても裏切っても、単独で行動しても、戦法は問いません。
戦わずに逃げるだけでもいいでしょう。
ただ、向こうも実弾を所有しています。殺されたら最後です。ご愁傷さまです。
ゲームには毎日1人2時間必ず参加してもらいます。
参加しないものは処刑です。
しかし、中には実戦が苦手な方もいるようですから、
参加しなくて済む方法も教えましょう。
それは他の人が、参加しない人の2時間分も戦闘に立てばいいのです。
そうすれば、その人の戦闘時間は免除されます。
なお、もとの生活に帰れるのはAI-Xを殺せたものだけです」

「何か、質問はありますか?」
空が口を開く。
「野乃花はまだ16歳だ。免除対象ではないのか」

「いいでしょう。免除します。
しかし、残念ですが野良猫どもを逃がすわけにはいきません。
私はヘレンローゼカッツェが好きではない。
せっかくの実験材料を逃がそうとしたあなた方のマスターへの復讐として
皆様のゲームが終わるまで彼女を預かりましょう。
殺しませんからご安心を」

私はまた意識が遠のいていく……。
「彼女と一緒に、皆様のゲームを観戦させて頂きます。幸運を祈ります」

あぁ、みんながまた私の名前を呼んでいる……。
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