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ヘレンローゼカッツェ…通称、野良猫。
私が生まれ育ったのは、この組織の中だった。
親などいない。孤児院から引き取られた者の集団。

孤児院から私達を引き取ったのは、名前も明かさない1人の男だった。
彼は、路地裏で喫茶店を経営していることから、マスターと呼ばれていた。
一軒家の一階が喫茶店、二階は孤児達のシェアハウス、そして地下にマスターの部屋があった。
私は、シェアハウスが苦手で、よく喫茶店で過ごしていた。
マスターは無口だが、とても優しかった。

孤児院から引き取られたものは、共通点があった。
皆、何かを憎んでいる…。
それぞれに、重いものを抱えていた。

私も同じだ。
私は、両親を殺した犯人が憎かった。
いつか、復讐してやる…そう決意していた。

そして、マスターはよく私達に課題を与えた。
ほとんどが犯罪がらみの依頼だ…。
それでも、誰もこの組織から抜けたいと口にしなかった。
その収入で私達は生活していたし、それが私達の日常だったのだ。
それに、仲間としての意識が強かった…。

だが、ある依頼を引き受けて私の日常は大きく変わってしまった。
マスターから渡された依頼文、

『桜条家の娘を殺してほしい。』

マスターは言った。
「桜条は、君が追っていた犯人だ。」

そう、これはマスターが私にくれた復讐の機会だった。

付け加えてこう言った。
「報酬が高い依頼だ。カラスに気を付けろ…。」

ようは、他にも桜条の娘を狙っている組織がいる、ということ…。

「承知だ。」

これは、私の獲物だ…。
誰にも譲らない。

だが、その後出会った桜条家の娘は、
私が今までに出会った人物の中で一番衝撃的で
厄介な相手だった。

このときはまだ、何も知らなかった…。


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