翌朝、きさらはすでにどこにも居なかった。

薬袋と水がテーブルに置いてある。
あぁ、頭が重い。

そうか。あの後ベッドに戻ろうとしたところを
スタンガンでやられたんだ。
薄っすらと暗い顔の鴉川の表情を思い出した。
おそらく、その後に眠剤でも飲ませられたんだろう。

鴉川が部屋から出てくる。
表情が暗い。
「…きさらは?」
「…お前、なんで昨日盗み聞きしてたんだよ。」
「ぃや、偶然。」
「僕は!」
「…僕は、もう誰のことも傷つけたくないんだょ…。」
「鴉川…?」
「ぃや、気にするな。」

気になるだろ…。

「きさらに会うか?」
私は頷いた。
「じゃあ、約束してくれ。何があっても僕を裏切らないと。」
鴉川のこんなにも弱気な姿は初めてだった。
「口約束でいいんだ。」
「わかった。」
あくまで口約束…そう思って答えた。

鴉川は自室のドアを開けて、私を通した。
部屋の先にさらに廊下が続いている。
その先に鉄の扉がある。
鴉川は、タッチパネルに手をかざし、暗証番号を入力した。

扉の先は何かの建物の中だ。
病院だろうか?白衣を着た人も何人かいる。
「ここは、政府が極秘に作った研究室だ。」
「研究…。」

「渓さん、おはようございます。」
1人の女の人が話しかけてきた。
「おはよう、蒼井さん。この子、新人だから制服を。」
「わかりました!」
「瑠宇、着替えたらまたここで。僕も着替えてくるよ。」
「ぇ、ぁ、はい。」

私は反強制的に女子更衣室に連れて行かれた。
「噂は聞いてました!一ノ瀬瑠宇さんですよね?」
「ぁあ、はい。」
「私は研究観察課の蒼井柚希(あおい ゆずき)です。」
「研究観察課?」
「はい。渓さんの部下で主に対象の行動観察、報告をしています。」
蒼井さんは、制服を手に取った。
「ありました!」
「研究観察課は実際の戦場にも赴くので、白衣じゃないんですよ。」
戦争…。
「ささ、これに着替えて下さい。私は仕事に戻りますので。」
蒼井さんは私に軽くお辞儀をして出て行った。

私は…ここで働くことになるのだろうか。
軽くため息をつきながら着替えた。
きさらに近づくためだ。

戦場にあう服は、自分の普段着のほうが防護性に優れているかと
少々思いつつ。仕方なく着替えた。

黒色の半袖スクラブに、ショートパンツ。
カーキブラウンのワンピース風コートを重ねる。
コートの襟にネクタイを締めて、
ウエストのベルトを止めた。

鏡をみて思った。

これでいいのだろうか…。

胸ポケットの金ボタンが哀し気に光った。




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きさらは相変わらず油断すると驚異的な力を発揮する。
鴉川は幸せそうに、そんな彼女の世話をする。
だが、きさらは保護者のように付きまとう鴉川に対して冷たい。
鴉川はそれでも彼女と過ごせることに喜びを感じているようだった。

そしてなぜか、きさらは私に懐き、私にキャンディーをくれる。
私は複雑な心境できさらの不器用な愛情表現を受け入れる。
私は、たまに思う。今なら…と。
だが、結局様子をうかがい続けているのだった。

敵陣に居ながら無防備な日常。
互いに誰も味方じゃない3人の共同生活は
気持ち悪いほど穏やかで…。
お互いの本心なんて、分かりもしない。
演技の生活は、すでに1ヵ月が経とうとしていた。

ある夜。
私はのどが渇いて大広間に水を飲みにいった。
大広間から続く一つのドア。
鴉川の部屋。
声が聞こえる。

「我が主、彼女をまたあの戦場に送るというのはなぜです?」
鴉川が誰かと話している。
「お嬢様はやっとこちらの暮らしにも慣れてきて…。」

「君は、人類の幸せを考えられないのか。」

桜条要だ…。

「ですが、」
「君には分からないだろう。カラスとして善も悪も食いつぶしていたんだから。」
「…。」
「更生するために、私のもとに来たんだろう?」
「私は…お嬢様にも幸せになってほしい。」
「彼女は人ではない。」
「…。」

穏やかな日常は
きっと幻想なんだ…。

私は生まれてからずっと、
何も起こらない平凡な暮らしに憧れていたのかもしれない。
でも、私の生きる道は
やっぱり…暗がりで。
汚い路地裏なんだ…。

カラスが善も悪もついばみ、
野良猫は強がって。誰にも媚びない。

私達は、結局弱者なんだ…。





皆さん、今日も寒いっすね!
体調崩してませんか??

小野崎は久しぶりに熱だして
点滴状態でしたぁ〜〜( ;´Д`)
バカが風邪引くのは夏だけだー!
なんて、甘くみちゃダメっすねww

さて、そんな小野崎はうなされながら
色々と妄想して楽しんでたんです。

『ナツネコの登場人物を人気声優さんが
やるとしたら、どの声がいいかなぁ〜
♪( ´▽`)ニヤニヤwww』

と。
あー!幸せな妄想だっw

皆さんも是非、お好きな声優さんの
声を想像しながら楽しんでみて下さいね!

因みにオープニングの曲は
ゴーストルールがぴったりなんだょなぁ〜
なんて思ったりしながら小説書いてます(^ω^)

ゴーストルール聴いたことない方、
オススメですょ( ´ ▽ ` )ノ♪
2017.01.08 第6話 日常

奇妙な3人の生活が始まった。
朝、目が覚めると隣のベッドではぐっすりときさらが眠っている。

私は昨日のことを思い出していた。
きさらが私に言った言葉の意味を理解できないでいた。
一体、私に何を言いたかったのだろう…。
こうして、無防備に寝ている彼女を見ていると、今が狙い時…とも思える。
その反面、桜条要が言っていた人間として対等に彼女と接する道、
というのも考え始めていた。
私の脳内で、桜条要ときさらの言葉が交互に繰り返される。

『彼女は強くなり過ぎた、暗殺すべき人間』

『二人分の私で出来ている。だから、強い。』

『彼女が誰にも危害を加えないように』

『私は人を傷つける。そして傷つけられる。』

『一緒に過ごせばわかるさ』

『何度も、繰り返してきた悪夢。』

私は、彼女を知るまで殺せない気がした。
桜条要が何をたくらんでいるか、想像がつかない。
今となっては、マスターのこともよく分からない。
鷹尾も…。
急に孤独を感じた。

「るぅしゃん。」
振り向くと、きさらがすでに着替え終えて私の顔を覗き込んでいた。
「…なっ、なんだ。急に驚かすな。」
「顔色、悪いよ?ご飯食べよう?」
「あぁ。着替えたらすぐいく。」

…まて。なぜだ?
私が考え込んでいたのは、ほんの数十秒。
だが、彼女はあんなに爆睡していたのに身支度を整えている。
しかも、メイド服!!!

「るぅしゃん、着替えないと風邪ひく。」
きさらはそういうと私にメイド服を投げつけた。
私はとっさによける。
「お前、人に向かって一体時速何キロで投げつけてんだ!」
だが、不思議ときさらは何の悪気もない様子だった。

そう。
きさらにとっては大した速さではなく、むしろ優しく放ったようなものなのだ。
彼女の威力は普通の人間の何倍もある。
キャンディーを私の口に入れたあのときは、
おそらく自分の意志で制御していた。
だが、少し気が緩むと普通の人間の何倍もの力が出てしまうようだった。

「ほらほら、二人とも朝から喧嘩しないで。朝食できたよ~。」
にこにこしながら鴉川が入ってくる。
「お前…。」
「ん?」

「ノックぐらいしろぉおおっっ!!」



きさらは、私が買ってきたプリンアラモードを美味しそうに食べた。
すっかり崩れてしまっていたが、気にしていないようだった。

「おかわり!」
きさらは可愛い声で私にねだる。
「これ、道路で落として崩れてるけどいいのか?」
きさらは首をかしげて、私の持っている袋からもう一つ取り出し食べ始めた。
別に気にならないのか、それとも言葉が通じていないのかは分からなかった。
でも、彼女はとても幸せそうに食べた。
「きさらちゃん、おいしい?」
鴉川の言葉に満足げに頷く。
まるで父親のように、鴉川も嬉しそうに笑った。ガスマスクの下で。
「鴉川、そろそろ外したらどうだ?」
「え?もう毒ガス平気?」
「大丈夫だからこうして、私はガスマスクも付けずに平然としてるんだろ。」
「も~早く言ってよ~。」
鴉川はマスクを外し、一息つきながら眼鏡をかけた。
「渓、お紅茶。」
「かしこまりました、お嬢様。」
鴉川はきさらのぶっきらぼうな命令に喜んで対応した。
きさらは3つ目のプリンアラモードに手を伸ばす。
「きさら、そんなに食べたら腹壊すぞ。」
私の警告を無視してきさらは食べ続けた。
「ハラ、分かんないけど、壊さない。」
分からないものを壊さないと断言している。
まったく何を根拠に言っているんだか…。

「るぅしゃん、毒ガスってなに?」
プリンに集中しているかと思ったら案外、人の話を聞いているんだな…。
「お前には関係ない。今日はゆっくり休め。」
「るぅしゃん、なんか隠してる。」
「メイドとあろうもの、お嬢様に隠し事をするとは。同じ使用人として悲しくなります。」
鴉川が紅茶をきさらに出しながら、口をはさんでくる。
「ちょっとした事故で、ガスが発生したんだ。でも、もう安全だから…。」
私はごまかした。
きさらは静かに立ち上がる。そして淹れたてのティーカップを手に持っていた。
私が見えたのはそこまでだった。
「熱っ!」
気づくと、コートに紅茶がかけられていた。
きさらは、一歩も動いていない。
だが、ティーカップは私の心臓を命中するように当たっていた。
防弾性のコートであったのが幸いだった。
飛び散った紅茶で首筋が火傷した。
ひりひりとするその痛みと心拍数が私を固まらせた。
床にはティーカップの破片が散らばっている。
まるで、私の心の中を表しているかのようだった。

「私は、人間。でも、みんなより強い。なかなか倒せない。」
きさらが、ぽつりぽつりと話し始める。
「私は、二人分の私でできている。だから、強い。」
「私は、人を傷つける。そして、傷つけられる。こうして…。」
「何度も、何度も。繰り返してきた。悪夢。」
「るぅしゃんも私を傷つけようとした。だから、お返し。」
「私、るぅしゃんにキャンディーあげたのに、悲しい。」
「仲良くなれたら、って思うのに。難しい。」
「私、るぅしゃん守りたい。」
「るぅしゃん、苦しそうだから…。」
「…だから、これで喧嘩はおしまい。」

私はなんと答えたらいいか分からなかった。
でも、きさらは泣きそうな顔で私に手を差し出す。
私は、彼女の手を握り返していた。

二人分のきさら…何度も繰り返した悪夢…

私を、

守りたい…?

頭の中で彼女の言葉が繰り返される。
分からない…。
どうして?

きさらは微笑んだ。

「良かったね、きさらちゃん!これから3人仲良く暮らせるねっ!」
きさらは不審そうに鴉川を見た。
「渓は、あんまり好きじゃない。」
「えーーっっ⁉なんで?きさらちゃんが小さいころからずっと一緒にいるのに!」
「るぅしゃんは好き。」
「なんで?おかしいでしょ!今日、殺そうとした方が好きで、小さいころからお世話してきた僕が好きじゃないとか!瑠宇ちゃんが女の子だからか?なら、僕も女装すれば気に入ってもらえる?」
「やめとけ、鴉川。そういうところが気持ち悪いんだろう。」
「あー!ひどい瑠宇ちゃんまで!きさらちゃんは一言も僕を気持ち悪いなんて言って…」
「気持ち悪い。」
「きさらちゃぁぁん!!」
「泣くな、鴉川。」
「あー、もう!瑠宇ちゃんがきさらちゃんに変な言葉教えたからだ!」
「渓、うるさい。」
「もう、今日立ち直れないかも…。」

こうして、私達3人の不思議な共同生活が始まった。

色々あった一日だった。
きさらの謎は深まった。
同時に、彼女を知りたいと思った。

ヘレンローゼカッツェが分裂した今、
彼女を生かすも殺すも、私次第なのかもしれない…。
2017.01.01 あけおめ♡

あけましておめでとうございます(*^^*)

昨年はありがとうございましたー!
小野崎、初のブログ小説にTRY‼︎
っということで、
不安有りつつも執筆し始め、

読んでくれてる人がいる!
拍手してくれてる人がいる‼︎

ってもうすごく嬉しい1年でした( ´ ▽ ` )ノ

そして、さらに!

ナツネコ動画も配信ということで、
観てくださった皆様、
本当にありがとうございますm(_ _)m
もう、1人1人にお礼を言いたいくらいです。
ただ、誰が見てくれたのか、
さっぱりわからんかったのですww
今年も小説に加えナツネコ動画も
頑張っていきますので、
どうぞよろしくお願いします!

さて、ブログ小説らしからぬ感じですが、
まだまだ『懐かない猫』は続きます!
どうぞ、今年もよろしくお願いします(^ω^)

一緒に1つの作品を通じて、
楽しんで頂け私はたら幸せです!!

皆さんにとって素敵な1年になりますように♡